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会長挨拶

新年のご挨拶

会長 西原 春夫

【写真】西原春夫先生

  新年あけましておめでとうございます。

  昨年はコロナに明けコロナに暮れた一年でしたが、いかがお過ごしでしたか。対面の稽古もできず、試合も大会もままならなかったことを悔しく残念に思っておられる方が多いに違いありません。そのお気持ちはよくわかります。

  しかし、ひるがえって「少林寺拳法の精神」という観点からすると、別な受け取り方になるのではないでしょうか。

  私の理解するところでは、少林寺拳法は「相手の力」に対抗するのではなく、その力を活用して自分の力を発揮させ、相手を倒すところに特徴があるのだと思います。コロナも「相手の力」ではないのですか。

  私も皆さん同様「巣ごもり」の生活を強いられ、行動は制約されました。それでも一年間とても忙しかったのです。論文、論説、講演原稿の執筆量という観点から見ると、さすがに昔の現役時代ほどではありませんが、少なくとも80歳を過ぎたここ十数年の間では最多の年になりました。8000字の論文2本、6000字の論文4本を含む大小の原稿執筆は10本を超えています。精魂を傾け、推敲を重ねた結果中国人聴衆の心を打った、中国北京で行われた大きな国際フォーラムでのオンライン講演は、中国共産党大幹部との間に人脈を築けるほどの成果を上げました。コロナの「おかげで」自由な静かな時間がたっぷり与えられたせいです。私は確実にコロナという「相手の力」を十分活用し、自分の力を大いに発揮したと自負しています。

  もっとも、少林寺拳法もさすがにコロナ自体を打ち倒すことは出来ません。しかし少林寺拳法の精神では、力を行使することによって「半ばは自己の幸せを 半ばは他人の幸せを」招くことが理想だと説かれています。コロナは打ち倒せなくても、コロナという相手の力を活用することが「他人の幸せ」に繋がればそれでよいのではないでしょうか。

  私はここ数年、きな臭くなった世界の現状を憂い、少なくともまず「東アジアを戦争の無い地域にする」ための運動を展開して来ました。コロナは、確かに海外出張を不可能にし、東アジア要人と膝を交えて趣旨を説明する機会を奪ってしまいましたが、「不戦」の意義を強調するきっかけを与えてくれました。

  私は、中國や韓国の要人も含めた多くの人に説いています。「もし宇宙人が人類を滅ぼそうと攻めて来たら、人類は対立や戦争は止め、一致団結してこれに立ち向かうことになるだろう。コロナも宇宙人が攻めてくるのと同じではないのか。ましてやコロナの原因になっているかもしれない地球温暖化は、最近の未曽有の大自然災害に表れているように、確実に地球破壊の方向に向かっている。それは人類の存亡にかかわる重大事だ。いま人類は対立や戦争をしている時ではないのだ」と。

  コロナの襲来を「不幸にも」と嘆くのではなく、「幸いにも」と受け取るのが少林寺拳法の精神ではないのかとしきりに思う昨今です。新しい年を迎えるにあたり、皆さんがどのようにすればコロナという相手の力を自分の力の発揮に活用できるのかを考え、ひいて自分と他人を高める方法を探し求める一年にして頂きたいと心から念じております。